月9話 黄金の林檎

ネメァの後を追い、私はヘラクレスの元へ走った。

やがて、空が朝日に燃えるように赤く輝き始めた。

(ヘラクレス……)

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ヘラクレス「ごめん……」

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あの時の苦しそうな表情を思い出して、胸が締めつけられる。

(あのまま一人になんてさせられない)

深い木々を抜けると、私はその光景に息を呑んだ。

〇〇「すごい……」

私の目に、朝焼けに輝く黄金の林檎の木が飛び込んできた。

まるで金の鐘が飾られているように、金色の林檎が艶やかに朝日を弾く。

ネメァ「ミィ~」

その木々の間をネメァと共に進んで行くと、生い茂る葉の奥に、小さな家を見つけた。

(あの家は……?)

今はだれも住んでいないのか、荒れた外観にツタが這っている。

手入れをされていない屋根や壁が、ところどころ腐り落ちてしまっていた。

ネメァ「ミィ~」

一声鳴くと、ネメァは迷いなくその家へと向かっていく。

〇〇「ここにヘラクレスがいるの?」

ネメァは私の方を一度振り返ると、そのまま家の中へ入って行った。

〇〇「待って!」

私は後を追って、その家の扉を開いた。

ぎいっと鳴る鈍い音が、不安をさらに掻き立てた…―。

 

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