禁止区域と黒い羽を持つ人々について、今後前向きに検討すると決定してから、数日後…-。
僕は○○の手を引いて、大切な思い出の場所である花畑へとやってきた。
○○「……ここは?」
ミカエラ「ここは僕とごく一部の友達だけが知ってる秘密の場所。禁止区域が近いから誰も近寄らない」
○○「こんな綺麗なのに……」
ミカエラ「うん、人が近づかないから、美しい花々が咲いてるんだ。……あの日、僕達は、本当はここに来たかった……」
今も、あのときのことを夢に見る。
(ルシアン……)
瘴気に蝕まれ、雪のように白いルシアンの羽が黒く染まっていくあの光景を思い出すと、胸が焼けるように苦しくなる。
○○「ミカエラさん……」
その声で、はっと我に返った。
隣を見ると、○○が心配そうな眼差しで僕のことを見上げていた。
(ごめん、そんなつもりじゃなかったのに、心配にさせてしまったね)
(だけど……きっと、もう大丈夫)
(僕もこの国も、君のおかげで大きな一歩を踏み出せたから)
ようやく灯り始めた希望を胸に、僕は彼女をふわりと抱き上げた。
そして……
ミカエラ「ありがとう、○○。 僕は君のおかげで一つ壁を乗り越えることができた」
○○「ミカエラさん……」
僕は目の前の○○に、心からの笑みを向ける。
(こんなふうに笑ったのは、いつぶりだろう)
(もしかしたら……あの時以来、初めてかもしれない)
彼女の柔らかな髪が陽の光に透け、美しい輝きを帯びる。
(まぶしいな……)
ふっと、僕の頭にある考えが生まれる。
(もしかして、君は……)
ミカエラ「君は僕に勇気を与えるために、神様が遣わした天使だったのかな?」
自然とこぼれた言葉に、○○も嬉しそうに笑い……
辺りには温かな光が満ち溢れ、まるで僕達を祝福してくれているようだった。
(本当にありがとう。すべては君のおかげだね)
(だから、絶対に……)
僕は密かに決意を固めた後、胸の想いを言葉へと変える。
ミカエラ「約束する……君がくれたこの一歩を、僕はしっかりと守ってみせるから。 君さえよかったら……この先も僕の傍に一緒にいて欲しい」
○○「はい、ミカエラさん……」
しっかりと頷いてくれる○○を、僕は力強く抱きしめた。
ミカエラ「ありがとう、○○。僕の愛らしい天使……」
○○「あ……」
僕は彼女の柔らかな頬に、そっと唇を寄せる。
ありったけの感謝を込めた口づけに、最初は少し驚いたように目を丸くしていた彼女も、やがて輝くような微笑みを浮かべ……
○○「ミカエラ、さん」
ミカエラ「……!」
○○は僕の名前を小さくつぶやいた後、まるでお返しとばかりに僕の頬へと口づける。
するとその瞬間、辺りを柔らかな風が吹く抜けて……
ミカエラ「君は、本当に……」
(どれだけ僕を幸せにすれば気が済むんだろう)
心が温かな幸福感と愛おしさで満たされる瞬間、僕は彼女に柔らかく唇を重ねる。
そうして、何度も何度もついばむように口づけた後……
ミカエラ「……約束」
○○「え……?」
ミカエラ「さっきの約束の他に……もう一つ、いいかな?」
突然の問いかけに、○○はそっと頷いてくれる。
僕はそんな彼女の瞳を。真っ直ぐに見つめ…-。
ミカエラ「君のこと……誰よりも幸せにしてみせるよ。 君が僕に、大きな幸せを与えてくれたように。 今度は僕が、君を幸せにする番だ」
○○「ミカエラさん……」
返事の代わりに、○○は僕の大好きな笑顔を見せてくれる。
そして……
温かな日差しと花々が見守る中、僕達はいつまでも飽きることなく口づけを交わし……
誰にも阻まれることのない、幸せな時間を過ごしたのだった…-。
おわり。