第3話 どこまでも深い蒼

城に戻った報告と挨拶のために、私とアルマリは国王様の元へ向かった。

国王「○○様、アルマリを目覚めさせていただき、本当にありがとうございました」

○○「いえ……そんな……」

国王様に丁寧にお礼を言われて、思わず身を縮める。

アルマリ「父上、トルマリは……?」

国王「トルマリは、お前を探しに城を飛び出して行った。 城で待っているように言ったのに……まったくあいつは手に負えない」

アルマリ「……そうですか」

国王「だが、お前が戻って来てくれて良かった。 式典、くれぐれもよろしく頼むぞ」

アルマリ「……はい」

(式典……?)

国王様の元を離れた後…-。

○○「アルマリ、国王様が仰っていた式典って……?」

アルマリ「……もうすぐこの国の守護神である、“ダイヤモンドの乙女”を称える式典が開かれるんだ。 その式典で、その年に街の人が採掘した宝石に光を灯すことになってる。 トルマリと一緒にね」

○○「光を、二人で……?」

アルマリ「うん」

アルマリが服の襟についている蒼い宝石に手をかざすと…-。

(わぁ……)

宝石が、蒼く淡い光を放ち始めた。

○○「綺麗……! すごいね、魔法?」

アルマリ「魔法……みたいなものなのかな。王族は、皆この力を持ってるんだ。 いつもはトルマリと二人でその役をやってる。 街の人が頑張って来た一年を祝福する、大事な儀式……なんだ」

アルマリの声が小さくなり、途切れ途切れになる。

(アルマリ……?)

アルマリ「僕ひとりで、できるかな……」

アルマリの声はとても不安げで……

○○「アルマリなら大丈夫だよ!」

声に、思わず力が入ってしまった。

アルマリ「……○○」

○○「式典頑張って! 楽しみにしてる!」

アルマリ「……○○の瞳は、宝石みたいにきらきらしてるね」

吸い込まれるような蒼い瞳に見つめられ、身動きができなくなってしまう。

するとアルマリは、また一歩私との距離を縮めてきて…-。

(ち、近い……)

アルマリ「トルマリも、きらきらしてすごくまぶしいんだ。 でも君のきらきらは……トルマリとは、少し違う」

(心の奥まで覗かれてしまいそう……)

(アルマリの瞳、本当に綺麗……)

私はアルマリの瞳をじっと見返す。

アルマリ「ごめんね、いろいろと落ち着かなくて……。 そうだ……ちょっと、僕についてきて?」

(……何だろう?)

私は、背を向けて歩き出したアルマリの後を追った…-。

アルマリが連れて来てくれたのは、城の裏手にある綺麗なお花畑だった。(わぁ……!)

色とりどりのお花が、一面に咲き誇っている。

○○「綺麗……」

アルマリ「ここでお昼寝するのが好きなんだ。とてもいい香りがして」

○○「そうなんだ……」

寝そべってみると、花の香りが心地良く体を包んだ。

○○「いい香り……」

アルマリ「でしょ?」

すると…-。

アルマリがおもむろに、私の真隣に寝転がった。

(ち、近い……!)

アルマリの肩が私の肩に当たり、寝返りを打てば顔が触れてしまいそうな距離に、戸惑いを覚える。

○○「アルマリ……少し近いかな……」

アルマリ「……そう?」

アルマリは、ふと目を細めて遠くの空を見た。

アルマリ「トルマリがね、僕が落ち込んだときとかここに連れてきてくれるんだ」

○○「トルマリさんは、いいお兄さんなんだね」

私がそう言うと、アルマリの顔に再び陰りが過る。

アルマリ「うん……」

○○「アルマリ……?」

(また……一体、どうして……?)

アルマリの蒼い目が、どこか暗く沈んでいく。

彼のまぶたが蒼色を隠した…-。

 

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