月6話 彼の力

アルマリが意を決して、宝石に手をかざす。

(あっ……)

しかし…―。

アルマリ「……っ」

アルマリがいくら手をかざしても、宝石は光を灯さなかった。

(アルマリ……)

国民「一体、どうしたんだ……? ……宝石は光らないの?」

聴衆のざわめきが、大きくなっていく。

アルマリ「……」

国王「アルマリ、どうした?」

アルマリ「あの……僕……」

アルマリの表情はみるみるうちに青ざめていって…―。

(このままだと、アルマリが……)

気づくと、私はアルマリの傍へと駆け寄ってしまっていた。

○○「国王様、アルマリ様の体調がすぐれない様子です……」

国王「……アルマリ、そうなら早く言いなさい」

アルマリ「……申し訳ありません」

国王様がアルマリの代わりに宝石に手をかざすと、台の上にある宝石がまぶしい程の光を放ち始めた。

アルマリ「どうして……」

アルマリは自分の手を見つめていたが、やがて悔しそうにきつく拳を握りしめた。

(アルマリ……すごく落ち込んでる……)

彼が握りしめている手を、私は両手で覆う。

彼の拳が、痛いくらいに震えていた…―。

 

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