第2話 二人きりの晩餐会

王妃様から、グラッド王子と友達になってほしいと頼まれた後…-。

国王様達の配慮により、グラッド王子との二人きりの晩餐会が始まった。

(緊張する……)

ややうつむきながらテーブルを見やると、そこには、およそ二人分とは思えない量のご馳走が並べられていて……

グラッド「……」

グラッド王子は、先ほどから黙々と食べ物を口に運び続けている。

○○「グラッド王子は、食べるのがお好きなんですね」

声をかけると、グラッド王子の眉がぴくりと動いた。

少しだけ、手を動かすことをやめて……

グラッド「別に。いくらでも食べられる」

そう答えると、またすぐに元のペースに戻り黙々と食事を続けた。

……

晩餐会が始まってから、しばらくの後……

○○「あ、あの、何のお料理が好きなんですか?」

グラッド「……別に」

○○「好き嫌いがないってことですか?」

グラッド「食べられるものは何でも食べる。それだけ」

○○「……そうなんですね」

先ほどから何度か話しかけてはいるものの、あまり会話が弾まない。

(どうしよう。話しかけない方がいいのかな……?)

黙々と食べ物を口に運び続けるグラッド王子を前に、私は途方に暮れてしまう。

(もしかすると、私が友達なんて嫌だったのかな……)

そう思いながら、うつむきかけていた時…-。

グラッド「これ、食わないのか」

すらりと長い指が伸び、私の前にあるお皿を持ち上げる。

○○「え……?」

グラッド「いらないなら、もらう」

○○「あ……」

グラッド「いるのか?」

グラッド王子が顔を上げ、私の答えを待つようにこちらを見つめた。

初めて間近で見る瞳に、小さく鼓動が跳ねてしまう。

○○「い、いえ。どうぞ」

グラッド「そうか。ありがと。 あんた、全然食わないんだな」

グラッド王子の印象的な瞳はすぐにそらされ、テーブルの上の食べ物が、再び彼の口に運ばれ始める。

(本当に、食べることが好きなんだ……)

素っ気なくも、どこか憎めないグラッド王子に、私の不安と緊張は、少しずつ消えていったのだった…-。

 

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