第3話 コスプレイヤーの楽しみ

カフェでの作戦会議で、私の衣装はかぼちゃと魔女をイメージしたものに決まった。

店を出るとすっかり日が落ち、オレンジの光が祭りに浮かれる町を染め上げている。

デネブ「大変! もうすぐ日が暮れるよ。お店が閉まっちゃう!」

○○「え!?」

突然、裾を翻して走り出すデネブさんを、私は慌てて追いかける。

向かった先は…-。

○○「わぁ……」

店内には、色とりどりのアクセサリーパーツから、大小様々な羽飾りまで置いてある。

どれも手に取って、ずっと眺めていたくなるほど、細工が素晴らしく繊細だ。

○○「こんなお店があるんですね」

胸が弾み、思わず声も高くなる。

(一日中いても飽きなさそう)

デネブ「ふーん。やっぱり、この時期のロトリアは特別品揃えがいいね」

店内をざっと見回した後、満足げにデネブさんは微笑んだ。

デネブ「気に入った?」

○○「雰囲気がありますね」

私の言葉に、デネブさんが嬉しそうに頬を綻ばせた。

デネブ「でしょ? ここの品揃えは独特なものが多いんだ。人と一緒じゃつまんないからね」

○○「詳しいんですね」

デネブ「リサーチ済みだよ」

○○「こんなにあったら、何にだってなれちゃいますね」

デネブ「その通り! わかってるね。 僕達は何にだってなれるんだよ! それがコスプレの醍醐味なんだから」

そう力をこめて言うデネブさんの瞳は、店内に飾られているどんな宝石よりも煌めいている。

○○「あんまり考えたことなかったけど……仮装とかコスプレって、楽しそうです」

デネブ「そうだよ! 今回は二人でとことん、楽しもうね。 そうだ! ○○ちゃんも、これをきっかけにコスプレを本格的に始めたら?」

○○「深入りしちゃいそうで怖いです」

デネブ「それがいいんじゃない? 僕がどこまでもエスコートしてあげるよ。 じゃ、早速買い物をしよ。素材が僕達を呼んでるよ」

○○「はい。アドバイス、お願いします」

デネブ「もっちろ~ん。じっくり選ぶよ~」

その後、私達はコスプレに必要な材料を、たっぷりと買いこんでいく。

デネブ「ほら、このリボンなんて衣装につけるといいと思うな~」

○○「素敵ですね。濃い色なのに、品があって」

デネブ「よし、これも取り入れよう! ふふっ、○○ちゃんとの買い物、楽しいな。」

○○「は、はい。私も……楽しいです」

嬉しそうな笑みを浮かべるデネブさんに、頬が火照る感じがした。

デネブ「ふふっ。楽しさも、おそろいってわけだね」

その後も飾りを選ぶ合間、濃い夕焼け色のデネブさんの瞳と、ときどき視線が合う。

(微笑み返せばいいのに、なんだか恥ずかしくて視線をそらしちゃう……)

心弾む買い物の時間は、あっという間に過ぎていった…-。

 

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