第5話 モンスター討伐

鍛冶屋ギルドを訪れていた私達の耳に、重い鐘の音が聞こえてきた。

途端に周囲の人々がざわつき始め、緊張が走る。

カリバーン「モンスター襲来か……!?」

カリバーンが眉根を寄せ、城壁のある方角を見据える。

先ほどまでとは違い、表情は硬く引き締まり、低い声には緊迫感が滲んでいた。

○○「モンスターが……」

カリバーン「すみません。しばらく大型モンスターは出ないと、調査部隊から連絡が来ていたんですが……」

私を振り返ったカリバーンが、申し訳なさそうに目を伏せる。

カリバーン「危険な場所に貴女を呼び寄せてしまいましたね……」

○○「いえ、大丈夫です」

カリバーン「……とりあえず城へ戻りましょう」

カリバーンが、私の手を引き寄せる。

カリバーン「貴女のことは、何があっても必ずお守りします。安心してください」

私の手を握る彼の手に、力が強く込められる。

(熱い手……)

私とカリバーンは、彼の馬で城へと急いだ…-。

城に戻ると、慌ただしく部隊が編成されているところだった。

武装した兵士の方達の間に、重々しい空気が立ち込めている。

??「カリバーン、戻ったか」

指示を与えていた高貴な身なりの男性が、カリバーンの元へ歩み寄ってくる。

カリバーン「兄さん」

カリバーンの兄「せっかくのところすまないが……」

カリバーンのお兄さんは、私に気遣わしげな視線を投げかけてきた。

カリバーンはお兄さんに頷き返してから、私の方に向き直った。

カリバーン「○○、俺はモンスターの討伐に向かいます。 すぐに戻るので、この城で待っていてくれますか?」

○○「カリバーン……」

カリバーンは私の両肩に手をおくと、大丈夫というように頷いてみせた。

○○「……」

押し寄せる不安に何も言えないでいると、カリバーンが優しく私の頬を撫でてくれた。

カリバーン「そんな顔をしないで。一時でも別れ辛くなります。 それにモンスターの討伐には、慣れています。いつものことなので」

○○「いつものこと……」

(大丈夫……彼の言う通り、きっと今までもそうしてきたんだし……)

物々しい雰囲気が、私の不安をさらに煽る。

(わかってはいるけれど……)

○○「……慣れていたとしても、危険なことに変わりはありません。 だからどうか……気を付けてください」

そう言った時…-。

カリバーン「……」

カリバーンの瞳が、わずかに揺れた気がした。

○○「カリバーン?」

カリバーン「いえ……」

カリバーンは私の気持ちを落ち着かせるように、髪をそっと撫でてくれた。

カリバーン「わかりました、約束します。 必ず討伐を成功させ、無事戻ってみせます」

○○「はい……お気をつけて」

ふっともう一度優しく笑った後、カリバーンは颯爽と外套を翻した。

カリバーン「……行くぞ!」

祈るような気持ちで、部隊と共に討伐へ向かうカリバーンの背を見送った…-。

 

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