第2話 決まらない衣装

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ロルフ『……助けてください』

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尋常でない様子のロルフ君とひとまず部屋へ入り、ソファーに腰掛ける。

(話を聞くのは、ロルフ君が落ち着いてからにしよう)

ソファーに並んで座った私が、ハンカチを差し出すと……

ロルフ「……ごめんなさい、○○ちゃん」

ロルフ君は大粒の涙を瞳に溜めながら、私を遠慮がちに見上げる。

(か、可愛い……)

ドキドキしながらも、そっとロルフ君の頬にハンカチを当てた。

ロルフ「ありがとうございます……」

○○「少し落ち着いた?」

ロルフ「はい……」

○○「何があったか、話せそう?」

私の問いに、ロルフ君は小さく頷いた。

ロルフ「ボク……収穫祭の衣装が決まらなくて……」

ロルフ君が、小さな声でぽつりぽつりと話し始める。

ロルフ「お洋服はいつも、お母さまに選んでもらっているから……。 でも今回は自分で選ぶって……お父さまと約束しちゃったんです……。 少しは自分のこと、自分で決めなきゃいけないって言われて……」

○○「そうだったんだね」

ロルフ「何を着たらいいか、ちっとも浮かばないのに……。 もうすぐ収穫祭になっちゃう……」

またロルフ君の声が震え出したので、私は慌てて彼をなぐさめた。

○○「大丈夫、私がお手伝いするよ」

ロルフ「え……」

○○「ロルフ君の衣装探し、手伝うよ」

ロルフ「○○ちゃん……」

ロルフ君は涙を手の甲で拭きつつ、上目遣いで私を見上げた。

ロルフ「ほんとに手伝ってくれますか……?」

○○「うん、だから安心して」

手で拭って頬が赤くなってしまわないように、私は再びロルフ君の涙にハンカチを当てた。

ロルフ「ボク、どうしたらいいんでしょう……」

○○「難しく考えないで、ロルフ君が好きな衣装を着たらどうかな?」

ロルフ「好きな……」

ロルフ君が、人差し指を顎にあてながら天井を仰ぐ。

ロルフ「……よく、わからないです……」

○○「それじゃあ、ロルフ君がなりたいものに仮装してみるのはどうかな」

ロルフ「なりたいもの……」

ロルフ君は今度は、両手で頬を抑えながら考え込んで……

ロルフ「どうしよう……何になりたいかも、わかりません……」

(うーん……それなら)

○○「なりたい人はいる?」

ロルフ「えっと、それは……お父さまみたいに強い人か……。 お母さまみたいに優しい人になりたいです」

少し赤くなったロルフ君の頬が緩む。

(ご両親のこと、尊敬してるんだ)

○○「そしたら二人に会いに行ってみようか。何かヒントがもらえるかも」

ロルフ「……はい……そうしてみます。 ありがとうございます、○○ちゃん……!」

ほっとしたように肩の力を抜くと、ロルフ君は再会して初めての微笑みを私に見せてくれた…-。

 

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