第4話 人造人間の便利屋さん

私達は街の人々に交ざり、収穫祭本番に向けての準備を手伝い続け…-。

やがて、ウィル王子の要望通りに作り替えられたセットや装飾が完成した。

アルタイル「これでなんとか間に合ったな」

(でも、ちょっとだけセットが本格的すぎて怖いような……)

(なんだか、ホラー映画の世界に入り込んだみたい)

街の人1「本当にありがとう! これなら最高の祭りになりそうだ!」

街の人々もいつの間にかモンスターの仮装に身を包み、さながらその場は墓地に集う亡霊の集会のようになっている。

アルタイル「俺は必要だと思うことをしただけに過ぎない。 一年に一度だけの祭りならば、皆が楽しめる形にしたいだろう」

するとそこに、さきほどのアイス屋の店主がやってきた。

出店の店主「ちょっと出店通りで客同士が揉めてしまってね。なにやら便利屋さんがいるって聞いたから相談を……って、あんた達だったんですか!?」

○○「え……?」

アルタイル「便利屋……?」

私達は顔を見合わせる。

(いつの間にそんなことに?)

すると店主の後に続いて、街の警備兵までやってきた。

警備兵「困った時はここの御仁を頼れって言われたんだが……」

小さい男の子「ボク迷子になっちゃったの。でもお化けが苦手で、街のみんなの仮装が怖くて……」

どこで噂を聞きつけたのか、祭りの本番を前に困った人々が続々と駆けつける。

アルタイル「これは……仕方ないな、○○」

アルタイルさんは腰に両手を当てて、私の方に視線を向ける。

○○「こうなったら……全部解決しちゃいましょうか?」

アルタイル「ああ、○○ならそう言ってくれると思っていた。 忙しくなりそうだな、だが頼りにされたからにはその期待に応えなければ。 今日限りの便利屋、開業だな」

(人造人間の便利屋さんか……収穫祭らしいかも)

こうして私は彼の助手を務める形で、街に起きた様々な問題を、一緒に解決することになったのだった。

……

すべての問題を解決する頃には、太陽が西に傾き始めていた。

出店の店主「いやぁ、ほんとに助かりましたよ!」

迷子だった子ども「怪物のおにーちゃん、一緒にお友だち探してくれてありがとう!」

各々モンスターの仮装に身を包んだ人々が、人造人間の姿をしたアルタイルさんに感謝を告げる。

(なんだか不思議な光景。モンスターの頼れる便利屋さん、か)

そんなことを思っていると…-。

迷子だった子ども「えへへ、お化けは怖いけど、おにーちゃんは全然怖くないね!」

アルタイル「怖くないだって!?」

アルタイルさんの表情が、急激に変わった。

○○「はい、怖くないです。それが何か?」

アルタイル「参ったな……ウィル王子には特別怖い仮装でと、言われたんだが……」

○○「え!? そうだったんですか?」

(怖いどころか、完全に心の優しいモンスターって感じだけど、大丈夫かな?)

夜が近づき、辺りの空気がひんやりとし始める。

そんな中、私達は苦笑いしながら、ホラー映画のセットのような街に目をやった…-。

 

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