月5話 文豪の筆

藤目「この気持ちは……」

そう言ったきり、藤目さんは黙り込んでしまう。

〇〇「藤目さんオムライス、冷めちゃ…-」

藤目さんが突然にテーブルをたった。

藤目「オムライス、取っておいてください……後でいただきますね」

彼は上の空でそう言って、どこからか紙と筆を持ってくる。

〇〇「藤目さん……?」

藤目さんは、私の声など届かないほどに集中して何かを紙に書き付けはじめた。

(もしかして、何か思いついたのかな)

私は音を立てないようにそっと片付けを始める。

一心不乱に筆を走らせる彼は、何者をも寄せ付けない雰囲気をまとっていた…-。

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