第3話 陽影の夏の過ごし方

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陽影『オマエなあ、外から眺めてるだけじゃつまんないだろ。中入ってみろよ』

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陽影さんに後押しされて、かわいいアクセサリーが置いてある店に入ったけれど…-。

女性客で賑わう店の中で気まずそうにしている陽影さんを見て、私は申し訳なさを覚えた。

陽影「○○、どうした?」

黙り込んだ私を見て、陽影さんが心配そうに顔を覗き込んでくる。

○○「ひ、陽影さん…一旦外に出ましょう?」

陽影「は? もういいのか? 店に入ったばっかだぞ」

そう言っている合間にも、店には女性客ばかりが入ってくる。

○○「はい、大丈夫です!」

私は頷きながら、そそくさと店を出た…-。

店の外に出たけれど、陽影さんは納得がいかない様子で首を傾げている。

陽影「なんだよ? 急に暗い顔して、どうかしたのか」

○○「……すみません、気が利かずに」

そう言うと、陽影さんが驚いたように目を丸くした。

陽影「は? 何言ってるんだよ。 なんで突然、そんな話……?」

○○「それは…。 私に付き合わせてしまって……陽影さん、あまり興味なかったですよね」

陽影「ああ…そんなこと気にしてたのかよ」

陽影さんは困ったように苦笑いを浮かべ、頭を掻いた。

(でも、思い返してみると……)

メインストリートを歩いていた時も、陽影さんはなんだかずっと落ち着かない様子だった。

○○「陽影さんってもしかして、こうやって過ごすの、苦手なんじゃ…」

陽影「そんなこと気にしなくていいって! オマエが楽しいのが、オレ、一番嬉しいからさ! ……あ」

陽影さんはハッとした表情になった後、そのまま黙り込んでしまった。

けれど、その顔はとても赤くなっていて…-。

(どうしよう、嬉しい……けど)

私はときめく気持ちを、とりあえず一度抑え込んだ。

(私だって、陽影さんに楽しんで欲しい)

○○「私は……二人が楽しい方がいいです」

陽影「な、何言ってんだよ…!」

真っ赤になった顔を隠すように、陽影さんが腕を上げる。

○○「私だって、陽影さんに楽しんで欲しいです」

陽影「な、なんだよそれ…!」

○○「なんだよって……陽影さんが楽しんでるところが見たいなあって」

陽影「オ、オマエ……」

素直な気持ちを言葉にしたつもりだったけれど、陽影さんはなんだか難しい顔になって…-。

陽影「オレの気も知らず、無邪気にそんな顔しやがって……!」

○○「? あの、陽影さん……」

陽影「待て! しゃべるな! とりあえずオレを落ち着かせろ! 全く……」

陽影さんはブツブツ文句を言いながら、背を向けて深呼吸を繰り返した。

陽影「……とにかくオマエの気持ちはわかったから……」

(よかった……)

私はホッとして、ようやく強張っていた表情を緩められた。

○○「じゃあ、次は陽影さんが過ごしやすい場所に行きましょう?」

陽影「オレが過ぎしやすい場所?」

○○「はい。どこがいいですか?」

陽影「うーん……」

陽影さんは少しためらいながらも、返事をくれた。

陽影「だったら……海の方に行ってみないか?」

○○「海……はい! 楽しそうです!」

陽影「ああ、きっと楽しいぜ! オレの国の海と、どっちがでっかいかな」

私達の間には、もう先ほどまでのぎこちなさはない。

まぶしい太陽の光の下、人の行き交う大通りを逸れ、私達は海を目指して歩き始めた…-。

 

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