陽影さんに誘われてやってきたリゾートアイランドで、私は彼と再会を果たした。
再会の嬉しさを感じつつ、なぜ私を呼んでくれたのかという疑問を、陽影さんに問いかけた。
○○「なぜ、私を誘ってくれたんですか?」
すると、陽影さんは照れくさそうに頭を掻き始めた。
陽影「あ、ああ……元々は視察の予定だったんだ」
○○「視察?」
陽影「アンキュラやコラリアは、観光にも力を入れてるんだけどな。 なんでも夏はもっといろんな国からの観光客を呼び込みたいって、頭を悩ませてたらしい。 それでオレが、夏の季節を司る一族として招待されたわけだ」
○○「成程、そうだったんですね」
陽影「そういうことだ!」
(ん? でも……)
○○「どうして、私を呼んでくれたんですか?」
はぐらかされそうになった疑問を、もう一度彼に問いかけると……
陽影「そ、そりゃあ……ここは、観光地だろ?」
心なし目元を赤く染めた陽影さんが眉根を寄せて視線を逸らす。
陽影「オレ一人で来てもな……そんでオマエもどうかなって思ったんだ」
(え……)
改めてロビーにいる他の観光客を見れば、腕を組んだり、手を繋いだりと恋人同士の姿が多い。
○○「わ……私でよかったんですか?」
陽影「……オマエ以外、思い浮かばなかった」
○○「……ありがとうございます」
私達はお互い真っ赤になって、ぎこちない仕草で窓の外を見た。
(どうしよう……ドキドキして何を言えばいいかわからない)
なんと言っていいかわからず、私はつい黙り込んでしまう。
陽影「あ、あのさっ……これからどこ行く?」
すると、沈黙に耐えかねたように、陽影さんがぎこちない調子で尋ねてきた。
○○「えっと……」
陽影「って言っても、土地勘ないしわかんないよな……とりあえず外に出るか」
○○「はい……」
高鳴る胸のせいか、どうも上手く会話ができず……
私達はお互いによそよそしい距離のままコテージを後にした…-。
コテージを出た私達は、数多くのお店が並ぶメインストリートを、ぶらぶらと歩いみた。
観光地だけあって、レンガで塗装された道路から街灯に至るまで、どれも凝ったデザインをしていて、目を楽しませてくれる。
(どのお店も、おしゃれで素敵……)
陽影「どうだ? こういうところ」
○○「とっても素敵なところですね。他の観光客もすごく楽しそうですし」
陽影「来てよかったか?」
○○「もちろんです」
私は心を弾ませながら、陽影さんの隣を歩いた。
○○「あ…-」
目に留まったのは、ショーウィンドウに飾られた白い花びらでできたアクセサリーだった。
(かわいいな……)
私がショーウィンドウに見とれていると、陽影さんが横から声をかけてくれた。
陽影「オマエなあ、外から眺めてるだけじゃつまんないだろ。中入ってみろよ」
呆れたような口調とは裏腹に、陽影さんは笑いながら、私を急き立てる。
その言葉に後押しされ、二人で店内に入るけれど……
(どうしよう……これじゃあ)
店内のたくさんのお客さんは、女の人ばかりだった。
心配して陽影さんを見上げると、やっぱり少し居心地が悪そうな様子だった…-。