月9話 国を守るために

洞窟の中でアポロと寄り添って眠っていた、翌朝のこと…ー。

○○「……アポロ?」

目を覚ますと、どこにもアポロの姿はなかった…ー。

……

まだ完全復帰とはいえない体を引きずり、アポロは戦地に立っていた。

侵略軍1「アポロ王子だ!!」

侵略軍2「馬鹿な……! なぜここに……!」

侵略軍3「構うな! 討て!!」

侵略軍が、アポロ一人に襲いかかる。

アポロといえど、その猛攻を防ぎきれずに負傷していった。

しかし…―。

アポロ「……フレアルージュの……俺の領には行かせんっ!」

アポロは胸元を押さえ、激しく乱暴に搔きむしった。

力強い刺青から、血がにじみ痛々しいあとを残していく……そして……

アポロ「うおおお……!!!」

火の竜を体にたずさえ、アポロは侵略軍へ突進していった。

侵略軍1「うわあああっ!!」

侵略軍2「熱い……!」

最後の力を振り絞るように、烈火をまき散らし、周りを焼き侵略軍をなぎ払う。

アポロ「ああああ!!!」

乱れ狂う炎に焼かれ、すべてが燃えさかっていく。

その威力に人々は恐れおののき、そして倒れていった……

アポロ「うぐ……あ……」

焼けゆく視界を見ながら、アポロが崩れるように地面へと倒れ込んだ。

アポロ「我が国は……守った……」

アポロのかすれた声が、炎に包まれ掻き消える……

アポロ「このような、死に際でお前に会いたいなどと。俺も随分腑抜けたものだ…。 叶うことなら……お前の顔を、今一度……」

アポロがそう強く願った時、遠くからアポロを呼ぶ声が聞こえてきた…―。

……

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