第2話 夏の観光シーズン

陽影さんに誘われてやってきたリゾートアイランドで、私は彼と再会を果たした。

再会の嬉しさを感じつつ、なぜ私を呼んでくれたのかという疑問を、陽影さんに問いかけた。

○○「なぜ、私を誘ってくれたんですか?」

すると、陽影さんは照れくさそうに頭を掻き始めた。

陽影「あ、ああ……元々は視察の予定だったんだ」

○○「視察?」

陽影「アンキュラやコラリアは、観光にも力を入れてるんだけどな。 なんでも夏はもっといろんな国からの観光客を呼び込みたいって、頭を悩ませてたらしい。 それでオレが、夏の季節を司る一族として招待されたわけだ」

○○「成程、そうだったんですね」

陽影「そういうことだ!」

(ん? でも……)

○○「どうして、私を呼んでくれたんですか?」

はぐらかされそうになった疑問を、もう一度彼に問いかけると……

陽影「そ、そりゃあ……ここは、観光地だろ?」

心なし目元を赤く染めた陽影さんが眉根を寄せて視線を逸らす。

陽影「オレ一人で来てもな……そんでオマエもどうかなって思ったんだ」

(え……)

改めてロビーにいる他の観光客を見れば、腕を組んだり、手を繋いだりと恋人同士の姿が多い。

○○「わ……私でよかったんですか?」

陽影「……オマエ以外、思い浮かばなかった」

○○「……ありがとうございます」

私達はお互い真っ赤になって、ぎこちない仕草で窓の外を見た。

(どうしよう……ドキドキして何を言えばいいかわからない)

なんと言っていいかわからず、私はつい黙り込んでしまう。

陽影「あ、あのさっ……これからどこ行く?」

すると、沈黙に耐えかねたように、陽影さんがぎこちない調子で尋ねてきた。

○○「えっと……」

陽影「って言っても、土地勘ないしわかんないよな……とりあえず外に出るか」

○○「はい……」

高鳴る胸のせいか、どうも上手く会話ができず……

私達はお互いによそよそしい距離のままコテージを後にした…-。

コテージを出た私達は、数多くのお店が並ぶメインストリートを、ぶらぶらと歩いみた。

観光地だけあって、レンガで塗装された道路から街灯に至るまで、どれも凝ったデザインをしていて、目を楽しませてくれる。

(どのお店も、おしゃれで素敵……)

陽影「どうだ? こういうところ」

○○「とっても素敵なところですね。他の観光客もすごく楽しそうですし」

陽影「来てよかったか?」

○○「もちろんです」

私は心を弾ませながら、陽影さんの隣を歩いた。

○○「あ…-」

目に留まったのは、ショーウィンドウに飾られた白い花びらでできたアクセサリーだった。

(かわいいな……)

私がショーウィンドウに見とれていると、陽影さんが横から声をかけてくれた。

陽影「オマエなあ、外から眺めてるだけじゃつまんないだろ。中入ってみろよ」

呆れたような口調とは裏腹に、陽影さんは笑いながら、私を急き立てる。

その言葉に後押しされ、二人で店内に入るけれど……

(どうしよう……これじゃあ)

店内のたくさんのお客さんは、女の人ばかりだった。

心配して陽影さんを見上げると、やっぱり少し居心地が悪そうな様子だった…-。

 

<<第1話||第3話>>