第1話 リゾートへのお誘い

海賊の国・アンキュラ 輝の月…-。

夏を一緒に過ごさないかと陽影さんに誘われ、私は胸を弾ませながらアンキュラにやってきた。

陽影さんが待ち合わせに指定した場所は、この国のリゾートアイランドにあるコテージだった。

陽影「よう、○○! 待ってたぜ」

久しぶりに会った陽影さんは、快活な声で私を呼びながら、駆け寄って来た。

陽影「元気そうだな」

夏の日差しのように明るかった表情が、微かに愁いを帯び、目元が嬉しそうに細められる。

私との再会を喜んでくれているのが伝わってきて、嬉しくて私も笑みをこぼした。

○○「陽影さん……」

陽影「おいおい、会った瞬間からしみったれた声出してんなよ」

陽影さんは照れて顔を背けながら、私のことを軽く小突いた。

ちょっと乱暴な言葉遣いは相変わらずで、私は苦笑しながら陽影さんのことを見上げた。

陽影「……そうだ○○。ちょっとこっち来てみろよ!」

陽影さんは私の腕を引くと、広いロビーを横切って、海に面した大窓の前へと連れて行った。

窓の向こうには光り輝く海が広がっていて……

○○「……すごい……!」

煌めくエメラルドに見とれながら、私は息を呑んだ。

陽影「この辺りの海は、世界で一番綺麗なんだ! 海の中には海底国・アクアリア、人魚の国・ローレライ、珊瑚の国・コラリアってのがあって…。 海底人や人魚が住んでるんだぜ」

○○「海底人に、人魚まで…!?」

陽影「運がいいと、海上に上がってくる人魚を見られるらしいぞ」

○○「いいなあ…!」

驚きと感動で子どものようにはしゃぐ私を見て、陽影さんが満足そうに頷く。

陽影「オマエを呼んで正解だったな」

(そういえば、どうして私をこの島に呼んでくれたんだろう?)

普段は男友達と騒ぐことが好きな陽影さんが、私を招待してくれたことに、ふと疑問が過った…-。

 

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